ジャケットやベスト、スカートの3点セットで扱う事務服の変容について
事務服はデスクワークに従事する人に支給されることが多く、日本の会社では女性の事務員が制服として着用するケースが一般的です。事務服は仕事用の衣類なのでデザインは実用的なものが普通ですが、価値観の多様化によって必ずしも地味なものではなくなっています。
事務服の移り変わりを知り、仕事現場に最適な一着を選ぶためのセンスを学びましょう。
事務の仕事は書類の整理から会計、更には社員の個人情報の管理まで多岐にわたります。一般的にデスクワークを事務と称しますが、中でも商取引に直接の関係が無い、社内向けのデスクワークを特に事務と指すのが通例です。
社内向けのデスクワークは女性が従事する仕事というイメージがありますが、これは戦後になって女性が会社組織の中で働くケースが増えた際に従事させた仕事がデスクワークだったことに由来します。外部の人間と接する商取引は男性社員が行い、一方で女性社員は社内の雑務に従事することによって男性社員が自身の仕事に専念出来る環境を整えるのが日本社会における事務仕事の実状でした。
事務は女性の仕事というイメージが未だに根強く残っているのは当時の慣習が現代に至るまで続いているためです。
事務は女性の仕事というイメージが広く定着したことによって、事務服も女性向けのデザインが多数出回るようになりました。男性の仕事着はスーツにネクタイの組み合わせが古くから定着していた一方で、女性向けの仕事着は存在せず、私服をそのまま仕事着に転用していたのがかつての常識でした。
女性用のスーツが無かったこともあり、女性専用の仕事着の需要が急速に上昇したのが事務服誕生のきっかけです。幾つもの衣料メーカーが事務服の製造を行うようになりましたが、いずれも地味でシンプルなデザインになったのは当時の価値観がまだ閉鎖的で、仕事現場に女性的な華やかさを持ち込むのは良くないとされていたためです。
女性用の事務服は上がジャケットにベスト、下はスカートの3点セットが一般的でした。稀にスカートではなくスラックスを取り入れるメーカーもありましたが、清掃や倉庫内の軽作業など肉体労働に従事する女性向けの作業服として扱われるのが普通でした。
出回り始めた頃の事務服はデザインや配色が地味で、明るい色合いの物も実用性を第一にした作りであることから決しておしゃれな衣類ではありません。当時は男性のスーツも地味であることが当たり前だったこともあり、その中で女性の事務員だけが煌びやかで派手な制服を着ることは出来なかった事情があります。
女性の社会進出が増え、女性が会社役員に就任するケースも増えたことから事務は女性の仕事というイメージが次第に薄れてきました。そのような中で事務服もかつての実用性だけを求めたデザインは減り、カジュアルスーツに匹敵するほどのおしゃれで明るいデザインが主流になりました。
ジャケットやベストは装飾が施され、スカートは丈が短くなるなどファッション性を重視したデザインの事務服が当たり前になっています。また、事務服の3点セットというスタイルも変わり、ベストが省略されることが多くなったのも時代の流れに伴う変化の一つです。
事務服は地味で陰気な雰囲気の作業服というイメージは過去のものです。現代社会においては事務服も明るい雰囲気を醸し出す、オフィスワークに従事する人のおしゃれな制服と見なされています。その一方で事務は外部との接触を想定しない、社内向けの仕事であることは変わりません。
そのため、事務服は他者と頻繁に接することが無い職場で着る衣類として扱われることから、安価で加工が容易なリサイクル繊維の生地で作られた物が増えています。リサイクル繊維はペットボトルなどのプラスチック製品を再加工した物で、製造費が安く加工が簡単なメリットがあります。
リサイクル繊維で作られた生地は質感が軽いことから量産品の衣類に用いられています。
事務服にリサイクル繊維の生地が多用されるのは製造コストが低いことと、事務服は半ば使い捨ての衣類として扱われることが多いためです。部外者に見られる機会が少ない事務員の制服はわざわざ高級な生地を使う必要がありません。
着用に適した品質であり、ほつれや色落ちなどの不具合が生じても容易に買い替えが出来る手軽さがリサイクル繊維の生地が多用される理由です。
事務服を購入する場合、枚数によっては通販業者を利用するのが得をするためのコツです。中でも事務用品を扱う大手の通販業者であれば、事務服をはじめとする仕事用の衣類を多数扱っているので、サイズや材質ごとに必要な数をすぐに購入することが出来ます。
通販業者は型落ちした製品や販売店の在庫整理で生じた死蔵品などを安価で販売することがあります。店頭販売ではまずあり得ない、非常に安価な価格設定で事務服を扱販売することも珍しくありません。複数枚の事務服を出来るだけ安く買うためには通販業者の情報をこまめにチェックすることが大切です。